最近、よく耳にする「SDGs」。2021年の新語・流行語大賞にノミネートされたことで、多くの人が知る言葉となりました。しかし、SDGsを知らずにここまで来てしまった…という人もいるでしょう。当記事ではSDGsの基礎知識を中心にご紹介。DXとの関係も整理していきます。

SDGsとはいったい何?

SDGsと地球

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
2015年の国連サミットにおいて全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されたもので、いわば、”国際社会共通の目標“を示しています。

SDGsは、2016年から2030年までの国際目標として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の最終目的である“持続可能な社会の実現”に向けて、各国が達成すべき17項目のゴールと169のターゲットを設定。各国にその目標達成への取り組みを求めています。

なお、17のゴールは次の通りです。

目標1:貧困をなくそう(貧困の撲滅)
目標2:飢餓をゼロに(飢餓撲滅、食料安全保障)
目標3:すべての人に健康と福祉を(健康・福祉)
目標4:質の高い教育をみんなに(万人への質の高い教育、生涯学習)
目標5:ジェンダー平等を実現しよう(ジェンダー平等)
目標6:安全な水とトイレを世界中に(水・衛生の利用可能性)
目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに(エネルギーへのアクセス)
目標8:働きがいも経済成長も(包摂的で持続可能な経済成長、雇用)
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう(強靭なインフラ、工業化・イノベーション)
目標10:人や国の不平等をなくそう(国内と国家間の不平等の是正)
目標11:住み続けられるまちづくりを(持続可能な都市)
目標12:つくる責任 つかう責任(持続可能な消費と生産)
目標13:気候変動に具体的な対策を(気候変動への対処)
目標14:海の豊かさを守ろう(海洋と海洋資源の保全・持続可能な利用)
目標15:陸の豊かさも守ろう(陸域生態系、森林管理、砂漠化への対処、生物多様性)
目標16:平和と公正をすべての人に(平和で包摂的な社会の促進) 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう(実施手段の強化と持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップの活性化)

引用元:環境省 持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs

上記の17の分野に分かれた目標をさらに細分化したのがターゲットです。
より細かい目標であるターゲットをクリアしていくことで、各ゴールを達成しようという狙いがあります。

SDGsが成立した背景

環境破壊と環境保全

さて、SDGsの17のゴールには、環境問題に関連する項目が複数あります。
じつは、SDGsが成立した背景には、深刻化する環境問題が深く関わっています。

産業革命以降、人類は多くの地球資源を使い、社会を発展させてきました。社会や経済の成長にともない、人口が増加するなかで、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会・経済を走らせてきました。

しかし、それに警鐘が鳴らされるようになります。

1962年にレイチェル・カーソンが発表した『沈黙の春』では、化学物質の危険性に対して注意が促され、各地で公害の被害が報告されると、人々の環境に対する意識が高まりました。

さらに、1972年にローマクラブが発表した「成長の限界」では、“人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する”として、環境汚染の深刻さと地球資源の枯渇を警告し、社会的な注目を集めます。

同年に開催された、環境問題についての世界初の大規模な政府間会合「人間環境会議」では、「人間環境宣言(ストックホルム宣言)」が採択。各国が地球環境の保全に対して責任を持つことや、先進国には発展途上国との格差を縮める努力が求められました。

その後も環境保全への高い関心は続き、1980年に公式で初めて”持続可能性“という概念が登場し、1987年には環境と開発に関する世界委員会(WCED)の報告書「我ら共有の未来(Our Common Future)」で “持続可能な開発(Sustainable Development)”という概念が確立されます。

こうした流れが、21世紀に向けて持続可能な開発を目指す「アジェンダ21」(※1992年地球サミット採択)や、SDGsの前身である「MDGs(ミレニアム開発目標)」(※2000年 国連ミレニアム・サミットにて誕生)へとつながり、今日のSDGsがあります。

SDGsの採択当初、日本での認知度は低かったのですが、学習指導要領の改訂で「持続可能な社会の創り手の育成」が明記されたことなどからメディア露出も増え、関心を寄せる人が増えています。

SDGsが重要視される理由とは?

環境保全のイメージ

先述した内容からも分かるように、SDGsが重要視されているのは、人類や地球の存続が危ぶまれているからです。

従来のように大量生産大量消費を継続すれば、資源の枯渇、環境破壊がより深刻な段階に進んでしまいます。また、現在の社会構造は先進国が発展途上国から資源や労働力などを搾取することで成り立っている部分があり、社会のあり方を変えない限り、人権侵害や格差社会の問題は解消されません。

従って、人類が抱える諸問題に対応するために、従来の社会構造を大きく変えようとする動きがSDGsなのです。

SDGsは採択にあたって、国・企業・個人という立場を超え、一人一人に当事者意識を持つことを推進しています。この意識はSDGsの理念である「No one will be left behind(誰一人取り残さない)」に表されており、一部の国や地域が幸せを享受するのではなく、地球全体が一緒になってより良い社会を目指そうという思いが込められています。

国内企業のSDGs事情

東京のオフィス街

ところで、SDGsは国内でどのくらい浸透しているのでしょうか。

東京都産業労働局が2019年9月に実施した「都内企業等におけるSDGsの認知度・実態等に関する調査」によると、従業員が多い企業ほど認知度が高い傾向にありました。

とくに、従業員数1001人以上の企業の76%がこの時点で「SDGs について内容を把握しており、すでに事業活動として取組んでいる」と回答しているのは興味深いところです。

一方で、中小企業ではなかなか取り組みが進んでいません。

2020年11月に一般社団法人日本立地センターが従業員300人以下の中小企業を対象に行った調査では、SDGsの認知度は50%を超えましたが、「取り組み中」や「取り組みを検討中」の企業はわずか8%にすぎませんでした。

従業員数が多い企業は事業内容が多岐にわたり、SDGsのゴールと事業領域が重複しやすいことに加え、「ESG投資」という考えが広がってきたことも認知度の高さにつながっていると推測できます。

新しい潮流、ESG投資

ESG投資のイメージ

ESG投資とは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」にしっかり取り組んでいる企業に投資しようという動きです。

欧州、米国、カナダ、豪州、ニュージーランド、日本の機関投資家を対象に調査しているGSIAの報告書では、2020年の世界のESG投資は35.3兆ドル(約3900兆円)に達し、16年の総額から55%増えています。

これは対象となった投資額の3割以上を占めており、従来の「収益を上げられるかどうか」ではなく「よい取り組みをしているか」で企業を判断する投資家が増えていることを示していると言えます。

つまり、SDGsに対応していない企業は投資対象として選ばれにくい状況があります。

この流れは中小企業と言えど無視できないものであり、今後は企業の規模に関わらず、SDGsへの対応が強く求められると予想されます。

 SDGsとDXの関係性とは

DXのイメージ

さて、急速に広まるSDGsですが、現在、それに乗じる形でデジタルトランスフォーメーション(DX)化の波が訪れています。

SDGsの目標やターゲットには、「目標8:働きがいも経済成長も」「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」「目標11:住み続けられるまちづくりを」「目標16:平和と公正をすべての人に」など、DXの推進を図ることで目標達成に近づく項目が複数あります。

企業の担当者としては、『SDGsの何から手をつけていいんだろう?』と悩む場合もあると思いますが、例えば、この中で、「目標8:働きがいも経済成長も」「目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう」には、企業の中でのDX化やデジタル化、基盤づくりなどが挙げられており、私たちが取組みやすい内容となっています。

内閣府が毎年発表しているSDGsアクションプランでは、SDGs達成のために「デジタルトランスフォーメーションを推進し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる体制を整備する」ことが示されており、「Society 5.0」の実現をはじめとした政策を展開しています。

官民一体で目指す「Society 5.0」

Society5.0のイメージ

Society 5.0」は、原始の狩猟社会、農業が広まった農耕社会、産業革命後の工業社会、そして現代の情報社会を4段階とし、そこから発展した社会を作ろうという考えです。

AIやビッグデータなどの情報技術を活用することで、物理的な障害を乗り越え、どんな地域にいる人にとっても平等に豊かな生活を送れるのがSociety 5.0であり、SDGsと同様に「世界中全ての人が平等に豊かさを享受できること」を目標としています。

こうしたことから、SDGsを達成するツールのひとつにDX化が位置づけられていると捉えることができます。
なお、Society 5.0については経団連も推進を図っており、今後は官民一体となったSDGsとDXの取り組みがさらに加速していくことでしょう。